動力を伝達するのに欠かせない機械要素の歯車。これを3Dプリンタで製作できたら、ものづくりの幅が更に広がりますよね。
今回、FreeCADでの歯車モデリング方法を解説していきます。
3Dプリンタでの印刷方法は次回解説する予定です。
歯車モデリング時の前提条件
3Dプリンタで製作する前提でモデリングしますので、以下の前提を設けています。
- 小さな面取りやフィレットは作成しない
- 底面はフラットにする
歯車仕様
今回、製作する歯車は以下図表の仕様にしました。2つの歯車を一体成型した形状とし、歯数は36、12とします。歯数36の歯幅は3mm、歯数12の歯幅は4.5mmとします。モジュールは0.5mmとし、ホビー向けに使われる小さな歯車が製作出来るかトライです。
項目 | 歯車仕様1 | 歯車仕様2 |
---|---|---|
歯車種類 | 平歯 | 平歯 |
歯数 | 36 | 12 |
モジュール | 0.5mm | 0.5mm |
圧力角 | 20° | 20° |
FreeCADで歯車のモデリング
歯形断面の作成
FreeCADでは、インボリュート曲線で作られた歯形を簡単に作成することが出来ます。
まず、「ボディーを作成」をクリックし、ボディーを作成します。その次に「Part Design」タブの「Involute gear」を選択して下さい。
インボリュート曲線のパラメーター設定するダイアログが表示されますので、仕様通り歯数:36、Module: 0.5mmを入力します。圧力角はデフォルトで20°が入力されていますので、変更しなくて結構です。続いて高精度で作成したいので、高精度はTrueのままです。最後に歯は外歯なのでTrueです。
OKボタンを押すと、ボディーオブジェクト下階層にインボリュート曲線で作成された歯形断面オブジェクトが作成されます。
歯形断面を押し出して歯車形状の作成
歯形に厚みをもたせ歯車とするために、作成した歯形曲線を押し出します。「パッド」をクリックして下さい。
歯幅は3mmですので、長さを3mmとし、OKボタンを押します。
歯車形状が出来上がりました。
次に歯車平面に段差を付けるため、「減算円柱」をクリックします。
プリミティブパラメーターダイアログが表示されますので、半径:8mm、高さ:0.5mmを入力します。
ダイアログボックスを下にスクロールし、「面を反転」をチェックします。
Attachmentの平面は、図に示す歯車上面を選択します。
OKボタンをクリックすると歯車形状から円柱形状が引かれ、平面に段差が出来ます。
歯数12の歯車も同様に作成して下さい。下図は、歯数12の歯車を作成した結果です。
軸穴の作成
歯車の軸穴を作成するために、再び 「減算円柱」をクリックします。
歯車平面に段差を付けるときと同様に軸穴を作成していきます。
プリミティブパラメーターダイアログボックスが表示されますので、半径1.5mmに設定してください。
次に下へスクロールし、「面を反転」をチェックします。
Attachmentは下図の面をクリックします。
OKをクリックすると軸穴が出来上がります。
肉抜き穴を作成
歯車の肉抜き部を作っていきます。
下図のようにスケッチを作成します。
作成したスケッチで肉抜きをするために、「ポケット」をクリックします。
ポケットパラメーターダイアログボックスが現れます。タイプは「貫通」を選択します。
OKをクリックすると肉抜き穴が作成されます。
肉抜き穴を円状に4つ空けるため、「円状パターン」をクリックします。
Polar Pattern parametersダイアログが現れます。回数に4を設定します。
OKをクリックすると肉抜き穴が4つ円状に作成されます。
これで決めた仕様の歯車が出来上がりです!
3Dプリンタで製作する前提と決めたので、面取り、フィレットはしません。
まとめ
動力を伝達するのに欠かせない機械要素の歯車をFreeCADでモデリングする方法を解説しました。
今回解説した歯車の作成手順は、
- 歯形断面の作成
- 歯形断面を押し出して歯車形状の作成
- 軸穴の作成
- 肉抜き穴を作成
です。
歯車を3Dプリンタで製作できたら、ものづくりの幅が更に広がります。
次回は、3Dプリンタでの印刷方法を解説していく予定です。